今年も残すところあと1ヶ月をきりました。文学館のはす向かいの志賀直哉邸も紅葉が見ごろを迎えております。散策に訪れて見てはいかがでしょうか。
さて遅くなりましたが、企画展「原田京平展―我孫子を詠んだ歌人―」をご紹介します。
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原田京平遺歌集『雲の流れ』 |
白樺派と民藝運動ゆかりの地、我孫子。志賀直哉、柳宗悦、武者小路実篤らは、それぞれの人生のステップとしてこの我孫子で若き日を過ごし、「我孫子・白樺派」というべき文化空間を創造しました。
しかし志賀らが去った後、「我孫子・白樺派」は失われたかのように思われてきましたが、それを引き継いだ人物こそ、我孫子を描き、我孫子を詠んだ歌人、原田京平(恭平・聚文(しゅうぶん)・和周(わしゅう))です。
本企画展は「我孫子・白樺派」の継承者である原田京平展のシリーズ第2弾として原田京平の歌人としての顔に注目しています。
京平は本業こそ画家でしたが、我孫子を詠んだ短歌が数多く残されており、それらは最初にして最後の唯一の歌集、遺歌集『雲の流れ』にまとめられています。
今回は遺歌集『雲の流れ』に綴られた短歌を紹介する展示となっています。
京平の短歌の師である窪田空穂は次の言葉を残しています。
「これらの歌は、洋画家原田和周君が、病床のつれづれに心やりに詠んだという程度のものではない。これを文藝として観て、現在の歌界に対して可なり高い評価を要求し得る値を持つたものと思はれる。」(窪田空穂「序文」『雲の流れ』より)
京平が詠んだ我孫子の風景、風土を是非感じてみてください。その短歌の中には、鳥を詠んだり、手賀沼を詠んだり、暮らしを詠んだりと、我孫子の魅力を伝えてくれるものがたくさんあります。
皆様のご来館をお待ちしております。
2016(平成28)年2月21日(日)まで開催しております。