2021年4月20日火曜日

特集ドラマ「流行感冒」を見て

 寒暖差の激しい日々。皆さまいかがお過ごしでしょうか。さて4月10日NHKBSプレミアムにて志賀直哉原作の「流行感冒」が放送されました。簡単ながら感想を申し上げたいと思います。


 まず舞台設定。原作の時代は1918(大正7)年頃。残念ながら我孫子でのロケはなかったため、随所にドラマとしての設定という観点で見た方がよいところがいくつかありました。原作は我孫子時代、我孫子を舞台にして描かれたものですので、まず自宅の縁側の感じは我孫子の家とは異なっています。(ドラマの演出上、素敵なカットが多かったと思います。)

 そしてラストの女中、石を見送るシーンなどで茶畑のような風景がありましたが、房総のむらでの撮影と思われます。また原作では石との別れは上野駅となっていますが、出演者が密になるステーションのシーンを避けるよう工夫されたのですね。(ちなみに我孫子にも昔は茶畑があったらしいです。知らなかった・・・)

 また秋野太作さん演じる村長(原作では登場せず。ちなみに当時は東葛飾郡我孫子町)のところを作家先生こと主人公の私(本木雅弘さん)が訪ねるシーンも房総のむらですね。
(幼少期によく訪れていたため、ドラマなどですぐにわかってしまうあたりは何のマニアなのでしょうか…、ちなみにそこのかき氷が大好きでした)

 街へ行くシーン。路面電車などがありましたが、あれは茨城県つくばみらい市のワープステーション江戸(現在はNHKエンタープライズが運営)でのロケだと思われます。(NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピツク噺~」の際にも使用されていました。ちなみに近現代エリアのオープンイベントに参加していましたコソコソ)

 ロケ地については我孫子ではなく、房総のむらやワープステーションで、手賀沼が出てこないのは残念でしたが、コロナ禍のもと短い撮影期間の中、当時の雰囲気を伝えようとしたスタッフのご苦労を思いました。
ということで、あまり「我孫子」は強調されていなかったということは少し残念だった…気もするのですが、、むしろ我孫子に特定しないことによって、現在全国、いや世界各地で起こる新型コロナウィルス感染症の大流行の様に、どこにでも起こる普遍的なものとして描きたかったのではないでしょうか。

というわけで長くなりそうなので、ひとまずここまでにしておきます(苦笑)

演出の柳川強さんのスタッフブログを引用しておきます。
https://www.nhk.or.jp/drama-blog/7410/446596.html

次回、ひょっこり登場していた武者小路実篤氏のこと。田舎の薪での炊事・風呂、ランプ生活と、路面電車、新聞、カフェー、大正モダン着物などの新しい暮らしなどについて触れられればと思います

追伸
志賀直哉はドラマ化や映画化など二次創作に関してはかなり神経質であったといえます。生前映画化といえば、池辺良主演の「暗夜行路」(1959)が真っ先に思い浮かびます。数年前渋谷でリバイバル上映しており、山田ゆうさん(志賀直哉御令孫)とお忍びで観に行きました。お司書様をちらほらみかけたのですが、見て見ぬふりをしてくださり有難かったなぁと思います(笑)
(T.I)

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