長らく雨が続き、大きな災害もありましたが、文学館は特段の被害はありませんでした。被災者の方には心からお見舞い申し上げます。
さて本日は2階小展示室の展示品を一部展示替えを行いましたので、お知らせいたします。
原田麻那「雨ふらしの海」という作品です。
原田麻那(1922-2006)は、原田京平の長女として我孫子に生まれています。
麻那が生まれたのは、1922(大正11)年1月17日。ちょうど志賀直哉がまだ我孫子にいたころです。実は麻那が生まれた事に関する記述が、志賀の日記に見受けられます。
1月18日水 雪 寒
午后三枚程書く、
夜風気味、
夕方原田氏の方から児玉さんの方を散歩する雪の降る中を歩く内あつくなる、
前夜十一時原田氏の所で女児安産 ブルジェーその他を見る、日本の人と似たり寄つたり、
十一時過ぎより康子腹いたみ出す、皆起きて、出産の用意をする、
雪五六寸積る、
(『志賀直哉全集』第13巻(岩波書店、2000年)より)
また志賀の4女万亀子が生まれたのが同じ年の1月19日。麻那とほんの2日違いで生まれています。
志賀、武者小路、柳らは皆新婚で我孫子に来ていますが、原田もまた結婚してあまり時間をおかずに我孫子にきています。
もしかしたら彼らにとって我孫子は新婚時代、子育てをして暮らすには、自然豊かで穏やかな空間として最適な場所だったのかもしれません。
我孫子生まれの染織家原田麻那の作品を是非この機会にご鑑賞ください。
常設テーマ「白樺派と我孫子」10月25日までです。
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原田麻那「雨ふらしの海」 |
(T.I)